フォントの話 その2

以前、こちらのブログで教材に使用するフォントのことを書きました。

http://mocco228.blog41.fc2.com/blog-entry-434.html


文科省、やりましたねえ。新教材、We Can! と同じ字体が学校現場でも使えるようになっています。ただでさえ忙しい小学校の先生が自作でプリントを作ることは個人的にはあまり推奨はしませんが、少しでも児童の学習意欲や学習効果を高めるために本当に必要であれば、 JTE や ALTが自主的に教材を作る分には構わないと思いますし、どうせなら教材と同じフォントの方が子どもたちにとっても良いに決まっていますよね。

新教材の学習指導案例の発表が遅れに遅れている点は文科省に苦情の一つも言いたいのですが、フォントに関してはちょい拍手をしたいです。もっとも教材本体を作るときにフォントも開発しているわけですから、それを出版社と役所だけで囲い込んでいるのも変ですけどね。公表するのは当たり前??


教えるプロ、作るプロ

もうじき2学期も終わりですね。2学期中はどこの小学校に研修に行っても、次期学習指導要領や新教材が話題にならないことはありませんでした。この後もしばらくは続くでしょう。

新教材について言えば、3~6学年の年間指導計画、活動例、そして高学年の児童用冊子と指導書は文科省のホームページで閲覧できるようになっています。中学年の児童用冊子と指導書、そして全学年のデジタル教材のデータも近く公表されるようです。遅いな…。

ある自治体は、高学年用に We Can! の指導計画を独自に作っているそうです。しかも作成するのは現職の小学校の先生たちと聞いてますますびっくりです。未だに文科省からは45分×70時間分の学習指導案例が公表されておらず(予定では9月にデータ掲載となっていたのに)、公表されたとしても文科省版は45分単位の指導案例のため、15分の短時間学習用の指導案に作り替えないと現場が困るから、だそうです。え?15分×105ページの指導案を作ってるの??

カリキュラムデザインは、現職の教師が日々の校務をこなしながら空いた時間でできるような仕事ではありません。指導案を作れない教師はいませんが、日々の実践の中で児童・生徒の実態に合ったオリジナルの指導案を作ることはできても、ある市区町村全体で活きるような汎用性の高い指導案を前もって1年分、しかも次年度以降も使えるものを作るのは、その道の専門家でないと難しいでしょう。

教師が教えるプロなら、カリキュラムや教材を作るプロもいます。私がどうこう言うことではありませんが、寿命が2年しかないとわかっている We Can! 版の指導案210ページを現職の教師が作るのって…。う~ん…。

個人の戯言ですが

あちこちの小学校に研修でお邪魔していると、必ずと言ってよいほど話題になるのが次期学習指導要領下での外国語、外国語活動のことです。ただ、高学年向けの教材 We Can! については、話題にはなっても先生方の関心が必ずしも高いというわけではなさそうです。心の中では「来年度、自分は高学年の担任にならないかもしれない。」と思っているのかもしれませんし、今のことでいっぱいで来年度のことは(関心がないわけではないけれど)考える余裕がない、という方もいらっしゃるでしょう。あるいはプログラミング教育や道徳への関心が高くて外国語は二の次だったり、時間数増でも教科化でも教材が変わってもALTがいるから任せておけばとりあえずはいいやと思っていたり、と理由は様々でしょう。

私の感触では、先生方は外国語・外国語活動の実際の指導のことより、高学年の授業時間数をどうやりくりするか、という心配の方が大きいような気がします。私が聞いただけでもこんな選択があることがわかりました。

①来年度から45分×70時間実施することを決定。登校時間を早め(これを歓迎する保護者もいる)、週1~2日は休み時間などを切り詰め、高学年は7時間目まで実施、あるいは今は全学年5校時までの水曜日を6校時までにしても14:30頃の下校を目指す。
【補足】私が2年前から研修でたびたびお邪魔している研究指定校は、昨年度からこの方法を実施していて、水曜日と金曜日は6校時終了が14:25です。(高学年は昨年度から45分×70時間の外国語活動を実施。)校長先生のお話では、地域や保護者から特に強い反対があったわけでもなく、この時程で軌道に乗ったので来年度以降も継続するそうです。

②来年度から年間70時間分、しかも45分×35時間と15分×105回で実施することを決定…したのはいいけど、15分×105回を1年間でどのように取るかは未定。(「各校の実態に応じて決めてください。」という教育委員会もあるそうな。これって結局は「丸投げ」ですよね…??)

③来年度から年間70時間分実施することを決定。45分×35時間は現行通りだが、増加分の35時間をどうするかは検討中。土曜日登校日に高学年だけプラス1時間やる?夏休み中に集中授業する?東京グローバルゲートウェイに連れて行って、それを授業時間数としてカウントする?…など

④来年度は年間50時間分実施。文科省が示した通り、プラス15時間は総合的な学習の時間に実施。

⑤(教育委員会内部では方向性は決まっているのかもしれないけど)未定。少なくとも校長会では何の伝達もなし。周囲の自治体の出方を見て決めるらしい。

個人的には④を選択した自治体が一番賢いか?と思っています。①の補足にあるような、すでに時間増で実施している学校はともかく、現行45分×35時間がいきなり倍になるのは、時間割の問題が解決したとしても、先生方にとってかなり負担になることは明らかです。(しかも文科省から出るはずの新教材に関する情報があまりにも遅すぎます。学習指導案とデジタル教材のデータを早く掲載してほしいものです。)一方、④なら来年度、再来年度に関しては週当たりのコマ数は増えませんから、先生方は時間割編成のために多くの時間やエネルギーを消費することなく、新たなカリキュラムや教材研究など、実際の指導に関わることに集中できるでしょうし、いわゆる「助走期間、助走区間」が確保されるわけです。

さて、2020年度の完全実施時にはどうなるでしょう?あくまでも個人の予測ですが、結局は週当たりのコマ数を増やさず、総合的な学習の時間を一律マイナス1時間にして外国語、外国語活動実施、なんていうことはあり得ないのでしょうか?文科省は、上記②のような選択をした学校から「負担が大きい」「15分では成果が期待できない」という声が上がるのを待っていて、「ね、だから45分×週2コマの方がいいでしょう?でも『働き方改革』を実現するためにはコマ数は増やせないし、いったん教科化が決定した道徳や外国語を領域に戻すわけには行かないから、総合的な学習の時間を減らすしかないんですよ。」なんていうシナリオが内々で出来上がっているのでは?と勘繰ってしまいます。

まあ上記は半分、私個人の戯言みたいなものですが、でも本当にそうなった場合、(言い方は悪いですが)ハズレくじを引いたことになるのは②のような選択をした自治体・学校ではないでしょうか。全校一斉ならともかく、高学年だけ15分×105回をどう捻出するかで頭を悩ませ、45分×70回を前提に文科省が作った学習指導案を、頭をひねって15分×105回用にアレンジしたものの、いざ短時間学習を実行しようと思っても生活指導をしているうちに時間が終わってしまったとか、デジタル教材がうまく動かなくてあたふたしていたら残り5分くらいになってしまったとか、そんなドタバタに振り回されたのに、実は④の選択をした学校の方が成果が出た、なんてことも十分に考えられます。挙げ句の果てに「2020年度からは全国一斉、高学年の外国語は(45分×)70時間、総合的な学習の時間は35時間」という通達が来て、「今までの苦労は何だったのか」と教務主任や高学年の担任を中心に疲労感だけが残る…いやいや、こんな酷い筋書はあってはダメですよね。

でも本当のところ3年後はどうなっているでしょう?現場の悩み、苦しみを役人はどこまでわかっているのかな??

英語教育推進リーダー

学校における英語教育のさらなる充実のため、文部科学省も東京都も「英語教育推進リーダー」事業を進めています。もしかしたら他の道府県でも東京都と似たような取り組みが行われているのかもしれません。

「国」の推進リーダーにも「都」の推進リーダーにも知り合いがいますが、彼らから話を聞くと事業の中身はかなり違います。違うことが悪いわけではありません。それ以前に、なぜこんな二重構造のようなことが起きているか理解に苦しみます。小学校の管理職でさえ、「国の推進リーダー」と「都の推進リーダー」が別々に存在することをご存知ない方もいらっしゃいます。

推進リーダーとなった先生方が本領を発揮するのはこれからでしょうが、少なくとも現時点で言えば、国にしても都にしても、この事業がどこまで有効か疑問です。推進リーダー候補として宿泊で研修を受けたり、地域の中核教員相手に還元研修を行ったり、英語圏に1~2か月派遣されて英語指導法を学びながら自身の英語力を上げたりといった様々な経験をしていますから、リーダー自身のプラスになっていることは否定の余地がありません。

が、彼らが校外で研鑽を積んでいる間、それを補う人材も動いています。また、リーダーが学んできたことを他の教員に還元するにしても、それがどこまで現場に浸透するのか、そして一番大事なのは児童・生徒にどれだけの利益をもたらすのか、を考えるとあまりコストパーフォーマンスがよいとは思えません。ここで言う「コスト」とは費用のことだけでなはく、リーダー本人とそれを取り巻く人たちが費やす時間やエネルギーも含めてです。もちろんこの事業はまだ進行中で、成果が見えるとしても数年後でしょうから断定はできません。

以前、推進リーダーの先生が講師を務める研修を見学させていただいたことがあります。受講者は地域の小学校から集まった先生方です。リーダーは学級担任やその他の校務分掌もこなしながら研修に参加し、還元研修の準備もしなければなりません。どんなにタフで有能な人でも、1日24時間は超えられませんし生身の人間である以上、エネルギーには限度があります。私は英語教育の専門家ですし自分も研修講師を生業としていますから、リーダーの先生が何を伝えたいのかわかります。でも、そこに参加している小学校の先生方は、もしかしたら「だから、現場で、実際の外国語活動でどうすればいいの?」という疑問を抱えたまま学校に戻っているような気がします。私が個人的に考えている問題点は2つあります。

一つは、リーダーが受けている研修の立案をしているのが海外の機関で、本当に日本の学習指導要領の中身や小学校における英語教育の歴史(というか現在に至るまでの紆余曲折?)を理解しているかどうかわからない組織のため、リーダーが勉強してきた内容と小学校の実態にミスマッチが起きている点です。もう一つは、リーダー自身があまりにも多忙で、学んできたことを咀嚼も消化もできていないまま研修講師を務めざるを得ない点です。ただ、これに関してリーダー本人を責めることは絶対にできません。むしろ、日々の校務をこなしながら健康を害さずに受講者と講師の両方を務めていることが奇跡とも思えます。

別の機会に、上記とは違う推進リーダーが行った、6年生の外国語活動を参観させていただきました。この先生のことは何年も前から存じ上げていて、私がT2として一緒に指導したこともあります。この先生からは、確かにリーダーとして研修を受けてきた成果が感じられましたが、その一方で事前に指導案を見た時点で「なぜこんなアクティビティを入れたのか?」という疑問もありました。この先生らしくない活動内容で目的も理解できなかったため、「もしかして海外派遣中に現地で習ってきたアクティビティを(児童の実態も考えずに)組み込んだのか?」と思いました。

授業後、その先生とお話ししたところ、私の推測が合っていたことがわかりました。

繰り返しますが、英語教育推進リーダー事業を根本から否定するつもりはありません。数年後、「あれは意味のあったことだったんだね。」と納得できる日が来るかもしれませんし、そう願っています。でも、正直なところ、あまり期待はできません。

こういう事業に税金や時間や労力を費やすくらいなら、JTEの質と身分の向上に充てた方がよほど現場のためになると思います。

まずは第一印象

文部科学省のホームページで、新教材(高学年分のみ)が公開されました。

トップ > 政策・審議会 > 審議会情報 > 調査研究協力者会議等(初等中等教育) > 小学校の新たな外国語教育における補助教材の検証及び新教材の開発に関する検討委員会 > 新教材説明会での配布資料について

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/123/houkoku/1382162.htm

高学年向けの新教材の名称は “We Can!” ですか…、ふ~ん。今後、文科省からさらに追加の資料がダラダラと順次公開されるようですし、私自身もすでに入手できる資料あるいは今後公開される資料を研究するうちに印象は変わるとは思いますが、現時点で児童向けの教材を見て感じるのは「(Hi, friends! 初見時以上に)これって、使い方間違えると『聞き取りドリル・書き取りドリル』になっちゃうんじゃないの?」です。

次期学習指導要領に示された「主体的な学び」と逆行しないのか?と感じました。もちろん教材はあくまでも教材であって、これを元に指導者が工夫をして児童に話すこと(「やりとり」と「発表」の両方)や書くこと(こちらは「書き写す」「慣れ親しみ」のレベルだそうですが)の力をつけて行くわけですが、担任単独指導、あるいはALTがいても公立小学校における英語教育について理解のある人でなければ、そこまで持って行くのはかなり大変ではないかと感じました。

デジタル教材の映像を見たり、教材の音声を聞いて児童がやることは「線結び」か「わかったことを(日本語で)書こう」という課題に偏っているような気がします。「話す」というアウトプットの前には「聞く」というインプットが大事なわけですが、ただ聞かせればよいというものではありません。児童が興味を持って主体的に聞こうとするような魅力的な教材であってほしいものです。

tag : We Can 新教材 次期学習指導要領

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