英語教育推進リーダー

学校における英語教育のさらなる充実のため、文部科学省も東京都も「英語教育推進リーダー」事業を進めています。もしかしたら他の道府県でも東京都と似たような取り組みが行われているのかもしれません。

「国」の推進リーダーにも「都」の推進リーダーにも知り合いがいますが、彼らから話を聞くと事業の中身はかなり違います。違うことが悪いわけではありません。それ以前に、なぜこんな二重構造のようなことが起きているか理解に苦しみます。小学校の管理職でさえ、「国の推進リーダー」と「都の推進リーダー」が別々に存在することをご存知ない方もいらっしゃいます。

推進リーダーとなった先生方が本領を発揮するのはこれからでしょうが、少なくとも現時点で言えば、国にしても都にしても、この事業がどこまで有効か疑問です。推進リーダー候補として宿泊で研修を受けたり、地域の中核教員相手に還元研修を行ったり、英語圏に1~2か月派遣されて英語指導法を学びながら自身の英語力を上げたりといった様々な経験をしていますから、リーダー自身のプラスになっていることは否定の余地がありません。

が、彼らが校外で研鑽を積んでいる間、それを補う人材も動いています。また、リーダーが学んできたことを他の教員に還元するにしても、それがどこまで現場に浸透するのか、そして一番大事なのは児童・生徒にどれだけの利益をもたらすのか、を考えるとあまりコストパーフォーマンスがよいとは思えません。ここで言う「コスト」とは費用のことだけでなはく、リーダー本人とそれを取り巻く人たちが費やす時間やエネルギーも含めてです。もちろんこの事業はまだ進行中で、成果が見えるとしても数年後でしょうから断定はできません。

以前、推進リーダーの先生が講師を務める研修を見学させていただいたことがあります。受講者は地域の小学校から集まった先生方です。リーダーは学級担任やその他の校務分掌もこなしながら研修に参加し、還元研修の準備もしなければなりません。どんなにタフで有能な人でも、1日24時間は超えられませんし生身の人間である以上、エネルギーには限度があります。私は英語教育の専門家ですし自分も研修講師を生業としていますから、リーダーの先生が何を伝えたいのかわかります。でも、そこに参加している小学校の先生方は、もしかしたら「だから、現場で、実際の外国語活動でどうすればいいの?」という疑問を抱えたまま学校に戻っているような気がします。私が個人的に考えている問題点は2つあります。

一つは、リーダーが受けている研修の立案をしているのが海外の機関で、本当に日本の学習指導要領の中身や小学校における英語教育の歴史(というか現在に至るまでの紆余曲折?)を理解しているかどうかわからない組織のため、リーダーが勉強してきた内容と小学校の実態にミスマッチが起きている点です。もう一つは、リーダー自身があまりにも多忙で、学んできたことを咀嚼も消化もできていないまま研修講師を務めざるを得ない点です。ただ、これに関してリーダー本人を責めることは絶対にできません。むしろ、日々の校務をこなしながら健康を害さずに受講者と講師の両方を務めていることが奇跡とも思えます。

別の機会に、上記とは違う推進リーダーが行った、6年生の外国語活動を参観させていただきました。この先生のことは何年も前から存じ上げていて、私がT2として一緒に指導したこともあります。この先生からは、確かにリーダーとして研修を受けてきた成果が感じられましたが、その一方で事前に指導案を見た時点で「なぜこんなアクティビティを入れたのか?」という疑問もありました。この先生らしくない活動内容で目的も理解できなかったため、「もしかして海外派遣中に現地で習ってきたアクティビティを(児童の実態も考えずに)組み込んだのか?」と思いました。

授業後、その先生とお話ししたところ、私の推測が合っていたことがわかりました。

繰り返しますが、英語教育推進リーダー事業を根本から否定するつもりはありません。数年後、「あれは意味のあったことだったんだね。」と納得できる日が来るかもしれませんし、そう願っています。でも、正直なところ、あまり期待はできません。

こういう事業に税金や時間や労力を費やすくらいなら、JTEの質と身分の向上に充てた方がよほど現場のためになると思います。

コメント

興味深く読ませていただきました。学校内でのリーダーの存在そのものが過酷な労働問題になりそうです。JTEの数を増やして、現場の先生方の重荷を取り除いた方がベターだと思います。首都圏なら有能な人材がいると思いますが、地方はいつも置いてきぼりな感じがします。新教材を只今勉強中。これがstudent-centeredな教材なのかと疑問を抱いています。dinner rollがtable roll?になっている?!誰か気づいてよ~愚痴ばかりですみません。

ママさんダンプさま

こんばんは。

> 首都圏なら有能な人材がいると思いますが、地方はいつも置いてきぼりな感じがします

いえいえ、日本全国に有能な人材はいると思います。ただ、大都市でも地方でも、その有能な人材を活かしきれていない、もしくはせっかく有能でやる気のある人材がいても、あまりにも待遇が悪くて、生活を考えるとJTEをできないのではないでしょうか。

英語推進リーダーについて私が知っている限りでは、「国」と「都」では負担が違います。はっきり言えば「都」の推進リーダーの方がはるかに恵まれていますが、聞くところによると今年度いっぱいで都のリーダー養成事業は終わりだそうです。オリパラと英語教育を強引に結びつけ、無駄でしかない教材を作りまくって、肝心の指導者養成事業は教科化、オリパラを目の前に終わり??何考えてんだかよくわかりません。…って私も愚痴ですみません<m(_ _)m>。
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