授業の最初で気になること

今となっては懐かしい遺物にさえなりつつ「英語ノート」が世に出た頃、私が一番嫌だったのは “How are you?” に対する応答として “I'm hungry.” “I'm sleepy.” などを教えてしまうことでした。別に全員が “I'm fine. Thank you.” と言う必要はありませんし、むしろすべての児童が声をそろえて “I'm fine. Thank you. And you?” と言う方が気持ち悪いとさえ思いました。

「英語ノート」出版当時、ある児童英語の専門家が「“How are you?” は挨拶であって健康調査ではありません。」と言っているのを耳にしたときはスカッとしました。このヘンテコリンな(少なくとも私はそう思う)やりとりは Hi, friends! にも引き継がれてしまっているわけですが、最近ではもっと違和感のある事態が小学校の現場で起きているような気がします。授業の冒頭、ALTと児童の間でこんなやりとりが行われているのです。

ALT: Hello, everyone. How are you?
児童: I'm fine. Thank you. And you?
ALT: I'm fine. Who is hungry?
(何名かの児童が黙って挙手)
ALT: Who is sleepy?
(同じく何名かの児童が黙って挙手)
ALT: Who is happy?
(同じく何名かの児童が黙って挙手)

他にも Who is tired? Who is hot? などがALTの口から飛び出すことがあるわけですが、どんな問いかけに対しても児童の行動は黙って手を挙げるのみです。この間、たいてい担任は児童を観察しているのみか、児童の挙手を促すかのように自分も手を挙げている程度のことしかしていません。

この現象がある学校とかある地域だけなら、「ああ、こういうおかしなローカルルールを作っているんだな」で済むのですが、驚いたことに都内の、それぞれ離れた市区で同じような展開がなされています。しかも低学年、中学年、高学年のどの学年でもこういう場面に出くわします。もしかしてこれって今どきの外国語活動のブーム??…と思いきや、さすがにそうではないようです。(ちょっぴりホッ

どうやら、とある大手のALT派遣会社が、研修でこのようなことをやっているようです。私が参観させていただいた小学校のうち、上述のような場面に出くわした学校のALTの派遣会社が同じでした。

言語だけがコミュニケーションの手段ではないので、ALTの問いかけに児童が挙手のみで反応することが一概に無意味だとは思いません。問題は「これって何のためにやってるの?」です。昨年の秋頃、ある小学校でもこうしたやりとりが行われているのを見ました。担任の先生が外国語活動に熱心に取り組んでいる方なので、授業後に率直にたずねてみました。「先生、あの一連のやりとりは何が目的ですか?」尋ねられた担任の先生はキョトンとされていました。そもそも挨拶に目的なんてあるのか?と思っていたようです。でも “Who is hungry?” は挨拶ではありません。ALTの Who is hungry? という問いかけに対して、お腹が空いている児童が手を挙げて“I'm hungry!” とアピールするなら理解できますし、Warm-up と捉えられないこともありません。おそらくこの先生をはじめ、ALTが持ち込んだこうしたやりとりをただ微笑んで見守っている担任の先生方は、目的など考えてはいらっしゃらないのでしょう。…でも、それでいいの??

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プロフィール

Author:mocco
J-SHINEトレーナー
元中学・高校の英語教師
小学校外国語活動講師(JTE)
首都圏を中心に各地の小中学校で研修講師も務めています
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