校長先生たちのつぶやき

2学期を終え、いよいよ年の瀬を迎えましたね。2学期に研修でお邪魔した学校では、ほぼ例外なく次期学習指導要領の話題が上りました。それも担任の先生以上に管理職の先生方の口から色々なつぶやきが聞こえてきました。私が研修に伺うのはほとんどが東京都内のせいか、今年行った中で低学年でも全く英語活動を実施していないという学校は1校もありませんでした。外国語活動の必修化学年を中学年に引き下げることに対しての反対や不安の声は聞かれませんでしたが、高学年の教科化、とりわけ時間数と指導者の問題については実に様々な意見が出て来ました。

高学年のプラス35時間分を45分の授業で実施するのか短時間のモジュールで確保するのか、は授業者である担任の先生以上に校長先生や教育委員会関係者の間では大きな問題でしょう。担任の先生方にとっては、時間数増の場合、それに見合った人的保障(JTE/ALTがつくのか)や教材・教具(担任が単独で指導するならなおさら必要)がなければ無理(あってもきつい)というのが本音でしょう。後者については文科省も一応考えているでしょうが、電子黒板が1教室に1台ではなく1校に1~2台という学校で活用できるものが出て来るのかどうか疑問です。何しろ Hi, friends! が出てきたときも、最初は冊子としての教材も作らない、音声CDも配布しないと言っていたくらいですからねえ。

そうかと思うと、ある校長先生曰く「先生たちに危機感がない。」
この方がおっしゃることはわからないこともありませんが、現時点での外国語活動でさえ地に足をつけて取り組んでいないのに、いたずらに不安感ばかりつのらせている先生の方が心配です。(実際、この1年でそういう先生方を何人か見て来ました。)ALTやJTEに任せきりにするな、担任も基本的な教室英語くらいは身に付けよ…と言うのは簡単です。でもそういう旗振り役のはずの管理職や教育委員会関係者が、ALTと日常会話すらできずにJTEに(本来の業務ではない)通訳をすぐ頼むのもちょっと情けない気がします。

そんな中、先日、ある校長先生が時間数の問題に関して斬新なアイデアをおっしゃっていました。「外国語はきちんと45分を2コマ取った方がいいですよ。15分だと、子どもたちがやっと英語の世界に入った、と思ったらすぐ終わりですからね。それよりも国語とか算数の一部をモジュールで取って、漢字や計算のドリルを短時間で集中してやらせて、その分のコマ数を外国語に充てる方が担任はやりやすいんじゃないでしょうかねえ。」

私自身、15分のモジュールだと実はうやむやになって実質的に現行と変わらない学校も出てくるのではないかと危惧しています。つまり、教室内に英語の音声は流れていても、その中で(欠席や到達が遅れているという理由で)計算ドリルや他教科の宿題をやっている児童がいる、などということもあり得ると思っています。酷い場合は最初に英語の歌を1曲歌って、その後に運動会や学芸会の練習、行事に向けての話し合いが行われて、教務上の記録は「外国語を15分やりました」のようになってしまう可能性も否定できません。そうなると地域や学校や学級の格差は広がる一方です。

そういう意味で、前述の校長先生のご発言には異論もあるとは思いますが、他教科の授業時間をモジュールで確保して外国語を週2コマにする、という玉突き式の発想に唸りました。

私が今までに関わらせていただいた地域や学校、そしてこれからも継続して支援させていただくことになるであろう地域や学校、自分自身がJTEとして勤務している学校はどういう選択をするのでしょうか。きっと良くも悪くも色々なパターンが出てくると思いますし、「これがベスト」というものも出てこないでしょう。ただし、「児童と現場の先生」のことを第一に考えて選択した地域や学校であれば、それなりの成果も見られると思います。(とはいえ、その「成果」がはっきり見えるのは東京オリンピック・パラリンピックがとっくに終わった頃でしょうね…。)

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プロフィール

Author:mocco
J-SHINEトレーナー
元中学・高校の英語教師
小学校外国語活動講師(JTE)
首都圏を中心に各地の小中学校で研修講師も務めています
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