どっちもどっち

夏休みが終わって私の研修業はちょっと一息、といったところです。来週はJTEとして勤務している学校で2学期最初の外国語活動があります。夏休みの間に成長した(はずの)子どもたちに会えるのが楽しみです。

今日は夏休み中の研修で使った教具や資料を整理しながら、ふとあることを思い出しました。

◆児童英語に長く関わっているAさんの主張
「高学年の児童は文字に興味を持っているので文字を教えると喜ぶ。だから小学校の外国語活動でも文字の読み書きはどんどん教えるべき。楽しいだけの英語活動から抜け出せる。」

◆中学校英語教師Bさんの主張
「中学校に入って文字を習うとつまづく生徒が出て、英語嫌いになる。生徒の差もどんどんついてしまう。」

生意気にも申し上げれば、私はどちらの主張も理解できる一方で必ずしも真実ではないと思っています。まずAさんの主張について言えば、本当は「中にはそういう高学年もいる」のであって「高学年全員」ではないと思います。Bさんが言うように、文字の読み書きを教えることで負担になる子どももいるはずです。高学年になると子どもたちが「楽しい」だけの英語活動に満足しなくなるのは当たり前で、文字を教えればそれが解決するわけでもありません。「楽しいだけではダメ」ということと「文字指導の是非」については、全く次元が違う問題とも言い切れませんが、ある部分は切り離して考えなければいけないとも思います。つまらないよりは楽しい方がよいに決まっているとはいえ、そもそも低学年から「楽しい」英語活動に走ってしまうから高学年になって困るだけのことではないでしょうか。ここは民間の児童英語教室で児童というより幼児の指導経験が長い人が陥りやすい点だと思います。

Bさんの主張についても同じことが言えます。中学校に入って本格的にアルファベットの読み書きが始まるとそこでつまづく生徒がいることは、元中学校教師の私にはよくわかります。ただこちらも「そういう生徒もいる」というレベルで、Aさんの言うように文字の読み書きのおかげで、単語や文の成り立ちがよりわかるようになったり、知的好奇心が刺激されて学習意欲につながる生徒もいます。

つけ加えれば、私が驚いたのはBさんが小学校外国語活動で文字指導を行うことに反対しているのかと思いきや、Aさんと理由は異なるものの「小学生のうちにアルファベットを読み書きできるようにすべき。」「3年生でローマ字を指導しているのにそれが不十分なために中学校で苦労する。」という意見をお持ちのことでした。「中1で週4時間もある英語の授業で、英語教育のプロである教師が文字指導を行ってもつまづく生徒がいるのだから、週1時間しかなくて必ずしも英語教育のプロが関わるとは限らない外国語活動で中途半端に文字指導を行ってしまうことが子どもたちにとって弊害になりかねない。」というのならわかります。

まずBさんが今後も中学校の教師を続けるつもりで、小中連携について真剣に考えるなら、ローマ字指導の実態をよく知るべきでしょう。ローマ字は「国語」の時間に指導されているものですし、xやlなど、ローマ字表記では使われないアルファベットもあります。ローマ字の指導ばかりに何時間も割いているわけではありません。日本語とは言語体系そのものも文字体系も大きく異なる英語のアルファベットの読み書きは、大人が考えている以上にハードルが高いことを、なぜ何年も英語教育に関わってきた人が理解できないのか、と思ってしまいます。

文字の読み書きは少なからず子どもの学習過程でハードルになります。ただ、知的好奇心という意欲が勝って、そのハードルを楽々と超える子もいればそうでない子もいます。もしかしたら私の見方がひねくれているだけかもしれませんが、Bさんは文字指導を小学校で実施して、そこでつまづく子が出れば英語嫌いを生んだ責任を小学校に転嫁できるとでも思っているのでしょうか。文字指導の大変さがわかっているのなら、なぜそこで「プロの私にお任せください」くらいの気持ちが持てないのでしょうか。Bさんの生徒さんたちにそんなに英語嫌いがいるのは小学校の外国語活動のせいではなく、そもそもBさんがプロとして謙虚に学ぶ姿勢や向上心に欠けているのではないか(=授業に魅力がない)とまで勘繰ってしまうのはあまりにも失礼でしょうか…。

Keyword : 文字指導 アルファベット

コメントの投稿

Secret

リンク
検索フォーム
英単語テスト
QRコード
QR
月別アーカイブ