基本を忘れずに

先日、都内のある自治体の教育委員会が主催するJTE対象の研修に行って参りました。と言っても講師の立場ではありません。

研修の前半は参加者が児童役になり、会場校の担任とJTEのティーム・ティーチングの模擬授業が行われ、その後で担任からの解説と質疑応答の時間が設けられました。後半は参加者が5~6名のグループに分かれて授業についてのディスカッションが行われる…はずでした。「はずでした」と書いたのは、授業についての建設的なディスカッションがほとんど行われず、勤務校の愚痴や教育委員会への不満が大半を占めていたからです。授業についての意見や感想もちらほら出ましたが、私から見れば的外れな内容も目立ちました。

的外れの大きな原因は参加者が学習指導要領をきちんと理解していないことでした。「小学校の英語はここまでを勉強する、というのを国とか教育委員会がちゃんと決めてくれないとね。」ともっともらしい顔をして発言している人がいたのにはびっくりしました( ゚Д゚)

今まで、小学校の先生と中学校英語科の先生が集まる研修でも、建設的な意見交換ではなく井戸端会議のような論争(?)に出会ってきました。結局はそれも学習指導要領の存在が忘れられていることが一番の原因に思われました。中学校の先生が小学校学習指導要領もろくに読まずに一方的に押し付ける、小学校の先生も指導要領をきちんと読んでいれば反論できるのに、それができずに言いなりになってしまうか、後から小学校の先生どうしで愚痴をこぼし合っています。こんなことでは小中連携なんて上手く行くはずがありませんし、そもそも研修というのは教師の指導力を上げて最終的には子どもに力をつけることが目的なのに、これでは子どもたちに何のプラスにもなりません。

肩書や立場の違いはあっても、小学校英語教育に関わる人は学習指導要領に(熟読はしなくても)目を通すくらいのことはしないと、いつまでたってもこういう不毛な話し合いはなくならないでしょう。

電車のお医者さん

勤務校の6年は色々訳あって、今は We Can!2 Unit8 What do you want to be? をやっています。先日の授業で Let's Listen をやりました。3人の子どもの会話を聞いて、各自の将来の夢とその理由を聞いて日本語で表に書き入れる課題が与えられています。

最初はこれを授業で扱うかどうか迷いました。pianist, train conductor という未習語が出て来るからです。pianist は推測可能でしょうが、train conductor がわかる児童はほぼいません。知らない単語が出てきたら、それで諦めてしまう児童がいないよう、音声を聞かせる前に「Aoi と Satoshi がなりたい職業の言い方はまだ習っていないけど、他の聞き取れたところから推測してみましょう。」と言ってから再生をしました。

何回か聞いた後、全員で確認をする際は Satoshi の将来の夢をいきなりたずねるのではなく、「この子が好きなものは何?」を先にききました。するとこちらはほとんどの児童が「電車」と答えました。そこから「電車が好きな男の子が将来なりたいものって何だろう?」とたずねて行くと、「運転士」「車掌」「駅員さん」「いっぱい線を引いて電車が何時何分に動くか決める人」など、予想通りの答えが上がりました。それに混じって、3クラスすべてで似たようなつぶやき(というかほとんど独り言?)をした子がいました(クラスによっては数名)。彼らが考えた職業は「整備士」でした。(「整備士」という言葉が思い浮かばず、「電車の点検とか修理をする人」と書いていた子もいました。)彼らのつぶやきから思考回路を整理すると…「train と doctor みたいに聞こえた」☞「電車のお医者さん」☞「ってことは電車を修理する人」(子どもによってはここまで)☞「あ、整備士のことか」

これがリスニングテストであればもちろん不正解なのですが、conductor という未知の(それも小学生には難しい)単語の強く発音された部分をキャッチし、doctor と解釈し、train と結び付けて子どもなりに答えを出した姿勢は拍手ものです。新学習指導要領で言われている「学びに向かう力」ってこういうことなのではないでしょうか?

日頃から児童をよく観察し、ほんの小さなこういうつぶやきも拾えるくらい高くアンテナを張っている担任は「間違っていても、聞こえた単語から一生懸命推測することが大事なんだよ」という的確な評価を絶妙なタイミングで子どもたちに返していました。

2019 J-SHINE シンポジウム

2019年J-SHINEシンポジウム「2020年 小学校英語教科化に向けた体制作り」が12月8日(日)に東京・神田で開催されます。

詳細はこちら

http://www.j-shine.org/2019/10/21/【お知らせ】全国シンポジウム報告会の開催につ-2

私が申し込んだのは数日前。上記のお知らせが J-SHINE のホームページに掲載されたのが10月21日付だったので「出遅れたか?」と思ったのですが、さきほど事務局からメールが届いて参加できることになりました。定員80名なので、参加ご希望の方はお早目に申し込まれた方がよいかもしれません。

他人の痛みがわかる?

勤務校は先週の土曜日から昨日まで学校公開日でした。昨日は6年の外国語活動があり、どのクラスも2~3名の保護者の方が参観にいらしていました。それに混じって、低学年の担任の先生も授業の一部ですが見学に来ていました。完全教科化を目前に「もし来年度、自分が高学年になったら…。」という意識をお持ちのようで、これはよい傾向だと思っています。

私は授業公開日ということすら忘れていて(苦笑)、学校に着いてから「あ、今日はちゃんとテーラードジャケットを着ていてよかった。」と思う程度で、もちろん授業は保護者が見ているからと言って特別なこともせずいつも通りでした…いえ、正確に言えば普段に比べると反省点の多い授業でした。参観してくださった低学年の担任の先生は「素晴らしい授業を見せていただいてとても勉強になりました。自分もこういう授業ができるように頑張りたいです。」と言っていましたが、問題点にも気づいてほしかったです。(気づいていても私に言えなかっただけ、というのであれば構わないのですが…。)

終わってから「ああすればよかった、こうすべきだった。」と考えているときは気が重いのも確かですが、こういう失敗があったり指導の難しさを実際に体験したりしているからこそ、他校に研修に出向いたときに先生方の大変さを理解した上での助言もできるのかな、とも思っています…って都合良過ぎ!?f^^; それくらい前向きに考えないと薄給でこの仕事はやってらんないよね~(苦笑)。

安心

先日、このブログにも書きました「英語教育ソリューションセミナー2019」に行って参りました。このイベントの一番のターゲットは民間の子ども向け英語教室の先生なのかな、というのがざっくりの感想です。だからと言ってもちろん私のように公立小学校での指導や先生方への研修を生業としている者が部外者というわけではありません。朝一番の金森先生のご講演の後で教材展示ブースを回りましたが、どのブースに行っても「教えている対象は何歳ですか?」「どんな教材をお探しですか?」とお決まりのように話かけられるのがややうっとうしく感じられました。静かにゆっくり教材を見させて!というのが本音です。子どもに教えているのは公立小学校の高学年だけですし、そもそも自分で教材を選べるわけでもないし、強いて言えば毎年行っている離島の小学校で授業をするときに使えそうな絵本があったらいいな、くらいの気持ちでした。

もっとも一番の目的は教材探しではなく金森強先生の講演だったので、会場の滞在時間はほんの2時間程度でしたがそれでも大満足です。金森先生、やはり合います。何が合うって英語教育の思想が。多数か少数かという数だけで分類すると少数派と思われるような意見も金森先生はスパッと言ってくださるので気持ちよいこと!1時間半という限られた時間で次々と飛び出した格言の中で、心に一番残ったのが「Small Talk 撲滅運動」。

Small Talk 自体を否定するつもりはありません。(たぶんそれは金森先生も同じでしょう。)ただ、学習指導要領改訂で「読むこと」「書くこと」「主体的な学び」などに比べると、 Small Talk は突然降って湧いて来た感が否めません。小学校の先生にこれをやれ、というのはかなり酷だと思いますし、ALTや英語専科のように英語が堪能な指導者がいたとしても45分という限られた時間で小学生相手に Small Talk を入れることが本当に有効なのか、もっと優先順位の高い指導内容や活動があるはず、とずーっと思っていたので、「あ、私だけじゃなかったんだ。」と安心したのが正直な感想です。(学習指導要領や学習指導要領解説本文には Small Talk という用語は出て来ないのに、研修ガイドブックでは Small Talk が独立した項目で扱われていることが違和感以外の何物でもありませんでした。)

でも今日の講演で金森先生が一番おっしゃりたかったのはこの点ではないことも確かです(笑)。変なところでハマってしまってすみませんf^^;

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