問題はその後

私自身いろいろな小学校で研修をさせていただき、またJ-SHINE トレーナーをはじめあちこちの小学校で研修をしている人たちから話を聞いて実感するのは、どこの小学校でも外国語(活動)に関しては混乱と困惑が渦巻いていることです。やはりそうですよね。これに対する行政の感覚はかなりズレていないか?と感じることも多くなってきました。

現場の混乱を教育委員会は知っています。ただその受け止め方が「新しいことを始めるときは何でも大変」「移行措置期間は色々と苦労もありますが」というレベルなのです。いや、違うでしょ~。まるで今年度、来年度の移行措置期間は大変だけど2020年度の新指導要領完全実施に頃には落ち着くとでも言いたげです。

私は真逆だと思っています。今はもちろん大変です。でも一応、多くの学校が Let's Try! や Hi, friends! や We Can! といった国が作成したものを主教材として授業を進めているので、他の市区町村の教員どうしでも情報交換や教材共有をして助け合える部分もあります。研修講師もとりあえずは文科省発の資料や情報さえ入手していれば、どうにか研修ができます。

ところが2020年度からは高学年は検定教科書になるので、最終的には何社くらいが検定を通るかわかりませんが、自治体によって使用教材が何種類かに分かれるわけです。しかも、移行措置期間はまだ一部で Hi, friends! が使えるので、ここ数年で高学年の担任を経験した先生にとってはまったくゼロからのスタートではありませんが、2020年度は児童の手元に Hi, friends!も We Can! もありません。

授業時数について言えば、今年度と来年度はまだ年間70時間やる必要はありませんし(実施している市区町村もありますが)、増加分を年間15時間まで総合的な学習の時間を使うことができます。2020年度はそうは行きません。外国語の授業の中身の問題だけでなく、時間割編成、時程といった教務上の課題が大きくのしかかってきます。

2020年度は今よりもっと大変になる、というのが私の予想です。残念ながらこれは回避できません。

島から帰ってちょっとひと息

このところ、書きたいことが山ほどあったのですが、なかなか更新できずにいました。山ほどあったのは、自分がそれだけ活発に動いたからであり、そうなると今度はブログを書いている暇がなくなってしまうわけです。(…ってただの言い訳!?f^^;)

昨日、今日は継続的にお邪魔している離島での研修でした。今回で27回目の訪島となります。明日は久しぶりにちょっと一息つけます。…さてこの1カ月ほどでたまりにたまっていた「書きたいこと」の何から書こうか考えていたのですが、まずはこの話題から。

1週間ほど前に、ある小学校で6年生の授業を参観させていただきました。このときの私の立場は講師ではなく、純粋に一参観者でした。授業後に講評するわけでも授業者の先生に助言をするわけでもないので、ある意味とても気楽に見学させていただいたのですが…終わってみれば「気楽」なんて言ってはいられない授業でした。

色々と課題の多い授業だった中で私が一番危機感を持ったのは「書く活動」でした。授業が始まって10分くらい経ったところで4本線だけが引いてあるプリントが配られました。次に担任の先生が短い文を日本語で板書し、児童はそれを英訳して4本線上に書く、という活動でした。2題あって、どちらも既習の内容なのでおそらく児童の半分くらいは口頭でなら言える程度の文でしたが、この授業の最初の約10分では全く扱っていない単語や文を使わせようとしていました。教室の後ろから児童が書いたものを私が見ることができたのは5~6名ほどでしたが、正しく書けている子は一人もいませんでした。大文字と小文字の使い方が間違っていたり、語と語の間が空いていなかったり、つづりまちがいがあったり、「そもそもこの子は口頭でも言えないかも」という子もいました。1題につき5分ほどかけた後、担任の先生が“Challenge?”と言って手を挙げると2~3名が手を挙げ、その中から担任が指名し、指名された子が黒板に正解を書いて終わり、でした。黒板の正解を一生懸命写す子、自分が書いたものを赤鉛筆で直す子、何もしない子、色々でした。おそらくこの担任の先生が中学生だったときに実施されていた(あまり良くない)授業をそのまま下しただけ、という印象が拭えませんでした。

この授業はJTEとのティームティーチングで、担任主導だったのは良かったにしてもJTEの活躍の場がほとんどなく、単に指導形態がTTというだけで、本当の意味の「ティーム」にはなっていませんでした。後で聞いたところでは、このJTEも今年度が1年目で指導経験が全くなく「アクティビティって何ですか?」と呟いていました。指導者が2人いても、2人とも学習指導要領の内容をほとんど理解しないまま半年以上も外国語活動が行われてきてしまっていたのです。

でも(私にしては珍しく甘いかもしれませんが)このお二人を責めることはできません。だってきちんとした研修を受けてきていないのですから。指導主事が学習指導要領の内容をただ伝達するような講義をしても多忙な小学校教師の頭に入るはずもなく、アクティビティ体験中心の研修であれば少しは担任も意欲的に参加するかもしれませんが、単に「ネタ」を仕入れるだけで終わってしまうでしょう。「とりあえず教育委員会の事業として研修会やりました~」のような研修を2~3時間受講させたところで、どれだけ成果があるか疑問です。

唯一、救いだったのは学級担任の先生と児童の信頼関係はできているという点でした。英語嫌いの大量生産だけは回避されていたものの…意欲も育たないだろうな…。

学習指導要領の改訂のポイントとして「読むこと」「書くこと」が加わったのは事実ですが、それだけが独り歩きをして「では何をどのように指導するか、児童はどこまでできればよいのか」がしっかり現場に下りていないことを痛感しました。

モヤモヤ…

陰の役割

今から5年くらい前のこと。ある小学校の研究授業に講師として伺ったとき、先生方からこんな質問が出ました。「英語活動は楽しくやりたい。児童が盛り上がりすぎて収拾がつかなくなったとき、叱ってよいものか悩む。テンションを下げてしまってはいけないのではと思うが、規律を守らせるためにはしかった方がよいのか。」

もちろん。授業は授業ですから。ただ、児童がこうなってしまった原因は考える必要があります。コミュニケーションの楽しさではなく、勝敗がつく楽しさに走っていないかどうか、活動そのものを見直すべきです。もう一つは叱り方。頭ごなしに怒鳴ったりしたら、子どもによっては委縮してしまって、その後はなかなか声が出ないかもしれません。

この学校のJTEとALTは二人ともとても笑顔が素敵で無条件に子どもたちがついて行きそうな魅力がありました。まだ若い担任の先生は児童が騒がしいとつい声を荒らげて叱って(というより怒って)しまうかもしれません。でもそんなとき、JTEやALTは重くなった教室に風穴を開けるかのように、明るい笑顔で雰囲気をがらっと変える魔法を持っています。少なくとも、「英語活動は楽しくやりたいから」というもっともらしい理由で、規律を守れない子どもたちを放置するのは英語活動だけでなく学級経営上も好ましくありません。…ということを先生方にお伝えしました。

さて、今度は自分の勤務校の話。今は学芸会前で学校全体が何となく落ち着きません。先生方もいつにも増して忙しそうです。今日も授業開始時間より少し前に行って廊下で待っていたら、子どもたちの賑やかな声が聞こえてきました。担任の先生(若い男性)も何か話していますが、廊下の私には何を言っているのかわからないくらい、子どもたちの声が大きかったのです…と、次の瞬間、いつもは穏やかな口調で授業をされている担任の先生の雷がドカン!と落ちました。教室内の子どもたちの姿は私からは見えませんでしたが、一瞬にして彼らが凍り付いたかのような様子が伝わってきました。

ほどなくして担任の先生が教室のドアを開け、いつものようににこやかに「お待たせしました。」と言って招き入れてくださいました。私が教室に入ろうとしたとき、担任の先生がちょっとはにかみながら「すみません、思いっきり怒っちゃったので、できるだけ明るい雰囲気で始めていただけるとありがたいんですが…」と小声でおっしゃいました。

大丈夫!そこはちゃんと心得ていますから。今日もこのクラスはいつも通り、明るく楽しく賑やかに授業ができました…というより、「さっきの凍り付いた空気がもうちょっと長く続いてくれた方が良かったか?」と不謹慎な考えが頭をよぎるくらい、私は何度も無言で「静・か・に・し・ろ」のアイコンタクトを送りました(~_~;)。

担任と児童の関係がちょっぴりギクシャクしているときも、教室がどんより重いときも、私たちJTEにはちょっと違う空気を一気に吹き込める役割があるんじゃないかと自負しています。

あ~、今日も楽しかった

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