小学校外国語活動を中心に英語教育全般についてつぶやき中(*^_^*)

一方、こんな授業も…

昨日のつづきです
指導者が子どもに「英語を使わせよう」「手を挙げさせよう」と躍起になっている授業があるかと思えば、先日はある小学校の5年生でこんな外国語活動を参観しました。

まず担任がボランティアを募ると、たいていどの場面でも約30名の児童のうち半分以上の手が挙がり、まさに子どもたちが活躍している授業でした。もちろん恥ずかしがり屋で声の小さな子もいます。それでも教室の後ろで参観していた私にも何を言っているか聞こえる程度の声は出ていました。授業のどの場面を取っても、子どもたちが「言わされている」と感じているような活動は一切ありませんでした。

授業後に協議会があったのですが、そこでの担任の先生、ALTの先生、そして他の先生方の発言から見えてきたことがあります。
  1. 担任の先生が日本語を使わず、英語で授業を進行していた。ただし、使っていたのはごくごく簡潔な教室英語のみ。(同じ表現が何度も出てきていた。おそらく日常的に使っている表現なので児童は英語で繰り返したり日本語に訳したりすることはできなくても、今、自分たちに何が求められているか、は理解していた様子。)
  2. 英語を話す量はALTの方が多かったが、担任がT1として主導していた。
  3. ALTが「担任を立てる」ことも含め、自身の役割を過不足なく果たしていた。
  4. 指導内容、教材に児童への押し付けが感じられない。指導者が「教えたいこと」より「児童が興味を持ちそうなこと」が優先された内容だった。
  5. 日頃から「繰り返し」と「インプット」を重視している様子が伝わってきた。
  6. ALTの肉声だけでなく、CD/DVD/ICT等の教材が効果的に使われていた。(こうした教材を使うこと自体が目的化されてはいない。あくまでもこうした教材は「児童の意欲・関心を高める補助道具」として使用されていた。)
  7. 担任の学級経営力、児童観察力、教材研究力のすべてが45分に凝縮されていた。
5.6.の共通点として、「音声への慣れ親しみ」を大切にしていることがわかりました。また、45分の中で勝敗やスピードを競うようなゲームは一つも入っていませんでした。(別にこういうゲームをやることが悪い、と言うつもりはありません。でも昨日も書いたように、ゲームの羅列の授業は「活動あって学びなし」という状況を作りがちです。)それでも児童は、“What subjects do you like?” - “I like ~.” というキーセンテンスを何度も聞いたり言ったりしていますし、最終的には一人一人が自分の好きな教科を英語で言っていました。(しつこいようですが「言わせている」「言わされている」という印象は皆無でした。)

ゲーム的要素のある活動と言えば、「外国の10歳の子どもが好きな教科ベスト3をあてる」というクイズで、その国も指導者ではなく子どもたちが選んだ3か国(アメリカ、イギリス、韓国)でした。国際理解教育につなげるという目的もはっきりしていますし、ついさっき耳にしたばかりの英語表現を無理やり使わせるようなアクティビティではありませんでした。

子どもたちに「~させたい」と考える前に、指導者としてやるべきことを考えてみませんか



子どもに~させる方法

あちこちの小学校に研修に行くと、よく聞かれる質問の一つがこれ

「高学年になると子どもたちが口を開かなくなる。子どもに発言させる方法はありませんか?」
「児童の手がなかなか挙がらない。挙手させるいいアイデアはありませんか?」

この手の質問に対して私が言いたいことを一言でまとめるなら…

その発想がそもそも間違っていませんか?

言いたくないことを言わないのは子どもの権利。何をすればよいかわからない、何を言えばよいのかわからないのに手を挙げるほど高学年の児童は幼稚ではありません。(子どもをバカにしすぎではないでしょうか?)

この手の質問をする先生方の授業をすべて参観しているわけではないので、断定はできないのですが、もし上記のような悩みをお持ちの先生は、下記の点をふりかえってみてください。

  1. JTEやALTがいる場合はほとんどお任せ状態になっていませんか?
  2. 自身が「下手でもよい、間違ってもよいので積極的に英語を使ってコミュニケーションを図ろうとする日本人のお手本」になっていますか?
  3. 日本語を多用して「説明」型の授業になっていませんか?
  4. JTEやALTが英語だけで授業をすすめ、しかもその英語が難しい、長文、抽象的で児童がわかっていないのに、担任として何も手立てをしていない、もしくはしたとしてもただ「訳すだけ」になっていませんか?
  5. 児童が「聞いてわかった」という達成感を持てる活動を経ずに、いきなり英語を使う活動にはしっていませんか?
  6. 「慣れ親しむ」といえばJTE/ALTの後に続いて発音する程度で、45分の授業の大部分がゲームの羅列のような組み立てになっていませんか?
特に1と2は大切です。自分が英語を使おうとする姿勢を見せずして子どもたちが英語を使うはずはありません。別に担任の先生にペラペラと英語をしゃべって授業をしろ、と言っているわけではありません。でもせめて毎回の授業で使うようなごく基本的な教室英語は練習して使っていただきたいと思います。

「忙しいし、自分は学生の頃から英語が苦手だったので、そんなに英語は覚えられない。」という反論が聞こえてきそうです。私はこういう先生にこそ申し上げたいのです。「そうですよね、英語を覚えて人前で実際に使うって大変なことですよね。それがわかっているのに、なぜ子どもたちにそれを強要するのですか?」

多くの小学校では、民間の英語教室に通っている子などを除けば、高学年でも年間たったの45分×35回しか英語にふれる時間はありません。その程度の時間で子どもたちが身に付けて使える英語はたかが知れていると思って間違いありません。45分の授業の中で、JTE/ALTあるいは音声しか聞こえない(=口元が見えない)CDの音を数回まねて、それをすぐ使ってみよ、というのはあまりにも無茶だということがなぜわからないのでしょう?もちろんすぐに「まねて言う」ことができる児童もいます。そういう子は学外で習った経験があるか、先天的にモノマネの上手な子でしょう。ただ後者の場合は「まねる」のが上手なだけであって、コミュニケーションの手段として英語を使っているわけではありませんから、おそらく次の日には忘れてしまっているでしょう。オウムや九官鳥のような児童を育てるのが外国語活動の目標ではありませんよね。

「英語を言えた」ことより「英語を聞いて(全部はわからなくても推測力を働かせた結果)わかった」という成功体験をもっと積ませる方が大事だと思います。ただ、それでは評価しにくいので、どうしても「児童が英語を言えたかどうか」で見取りをしたい先生が多くなってしまうのでしょう。そうなると児童が英語を口にしてくれたり挙手してくれたら、担任としてこんな楽なことはありません。でも冷静に考えれば、それは教師側の都合でしかなく、学習者中心の授業ではないことも、プロの教師ならわかるはずです。

教師の押し付けではなく、児童の側に立って授業を考えてみませんか






英語テストをどう変えるのか

12月15日(日)に『2013教育シンポジウム 入試・学力テストの改革 -英語テストをどう変えるのか-』が開催されます。

詳細はこちら
http://www.live.kyoikushien.org/pdf/Top/simp.pdf

お申込みはこちらから
https://pro.form-mailer.jp/fms/dd93214149450/

パネリストの顔ぶれが何とも豪華です。「英語」「入試」となると、私が今、一番気がかりなのは、小学校英語教科化に伴う「私立中学校入試における英語」です。以前にもこのブログで書きましたが、どんなにきれいごとを言っても入試の目的は子どもたちの到達度を測るためのものではなく、落とすための秤でしかありません。中学入試が英語教育を歪んだ方向に導くことのないよう、切に願うばかりです。

もちろん私も参加します(すでに申し込み済)。余談ですが、会場は元・赤坂プリンスホテルの近くです。解体工事が終わってかつての赤坂のシンボルが消えて景観が変わってしまっているかもしれません。私は中学・高校ともにこの近くに通っていました。久しぶりに会場周辺を散歩してみようかな…


若手教師の気づき

先日はある小学校で5年生の外国語活動を参観させていただきました。担任の先生とALTのティーム・ティーチングで、ALTの雇用形態が業務委託のためか担任の先生が遠慮しているのが手に取るようにわかり、後ろで見ていた私ももどかしさを感じながら参観していました。

授業後、担任の先生に今日の授業の自評や日頃の外国語活動で困っていることや疑問に思っていることを率直にお話しいただきました。まだ20代のお若い先生でしたが、的を射た発言でした。
「楽しいだけの授業に子どもたちは飽きている。だからと言ってゲームのルールを複雑にすると、外で習っている、いわゆる『できる子』は喜んでも、ついていけなくて投げてしまう子もいる。だから色々なことをシンプルにするのがよいと思っているけれど、それをALTの先生に伝えられない自分がもどかしい。」
その他にも、最近話題になっている「英語教科化、必修化学年引下げ」にも関心をお持ちでした。

外国語活動の経験が浅い先生が高学年の担任をすると、彼らの「知的好奇心」や「発達段階」という言葉に縛られて、学習指導要領の内容を逸脱して中学校の前倒しになったり、ゲームやアクティビティのルールや手順を複雑にしてしまったり、という場面によく遭遇します。ややもすればコミュニケーションがどこかに飛んで行ってしまって、ゲームの羅列の授業になってしまうことも少なくありません。でもこの先生は38名の子どもたち一人一人の様子をよく観察して、子どもたちのために何が最良か、をきちんとお考えになっている様子がわかりました。

業務委託のALTとのティーム・ティーチングには色々と問題があるのはわかります。でも少なくとも「ALTに任せていれば、とりあえず自分は苦労しなくてよい」と思わずに、この先生のように子ども中心の目線で問題意識を持っている方なら、今後、小学校英語がどのようになっても大きく間違うことはないと確信できました。こういう先生にお目にかかると、惜しみなく応援したくなります

トレーナーへのすすめ

以前、こちらのブログでも告知させていただいた≪J-SHINE設立10周年記念イベント フォローアップ研修 in 仙台≫が無事終了しました。ご参加くださったみなさま、ありがとうございました

今回、この研修に講師としてだけでなく一部裏方としても関わって改めて感じたのは「あ~、トレーナーになってよかった」でした。勉強になるだけでなく、素晴らしい仲間と出会えて、また新たなつながりができました

「J-SHINE」「トレーナー」「試験」などのキーワードで検索した結果、このブログを訪れてくださる方もいらっしゃるようです。試験については以前、メールでお問い合わせいただいたこともありました。確かに試験は簡単ではありません。正直に書けば、私なんぞは「こんな大変な試験は二度と受けたくない」という思いから逆に必死に勉強したおかげで(?)(あくまでも結果としてですが)合格したくらいですf^_^;

もし迷っている方がいらしたら、「迷っている時間を勉強に充てて、試験に挑戦して、一緒に頑張りましょう!」というのが私の本心です。トレーナー検定試験の要項はこちら

http://www.j-shine.org/kiyaku_t.htm

同じ志を持った仲間がまた増えますように