小学校外国語活動を中心に英語教育全般についてつぶやき中(*^_^*)

「三単現」の解釈

先日は受講する立場で研修に行きました。JTEとして勤務している自治体の教育委員会主催で、JTE向けの研修でした。

研修の中で指導主事が新指導要領について20分ほど講義したのですが、その中でどうしてもひっかかる一言がありました。今回の改訂により「外国語活動」から「外国語」となった高学年の指導内容についての変更点をいくつか述べた際、その中の一つとしてパワーポイントのスライドには「三人称」と記されていました。問題はそのときの指導主事の発言です。「三人称」だけにとどめておけばよいものを「今度の改訂では he とか she も出てきて、三人称単数現在いわゆる三単現も扱います。」

We Can! には He is ~. / She is ~. という文が出てきます。主語は「三人称」で「一人(単数)」、is は紛れもなく be 動詞の 「現在形」 ですから誤った発言ではありません。ただ、おそらく世間の多くの人は「三単現」と聞くと plays, has など一般動詞の現在形に s がついた形を思い浮かべるのではないでしょうか。(余談ですが、元中学校英語教師の私が思うに、この「三単現」が中1の生徒にとって最初の大きなつまづきポイントでもあります。)受講した約30名のJTEの中で、新指導要領に目を通し、このあたりの情報を正確に掴んで正確に解釈している人がどれだけいるかはわかりませんが、わざわざ誤解を招くような余計な発言をしなければいいのにな>指導主事、と思いました。

ちなみに、学習指導要領でも指導要領解説でも、「人称代名詞」や “he” “she” という用語は使われていても、「三人称」という用語は使われていません。(もちろん「三人称単数現在」「三単現」なんて言葉も出てきません。)さらに付け加えれば、私はかつて私立の中高一貫校に10年以上勤めていたのですが、中学生を教えていたときはもちろん、高校の英文法(いわゆる Grammar)の授業でも「三人称」や「三単現」なんて言葉は一回も使ったことがありません。それでも受験指導はできます。

英語の授業でも研修でも、余計な文法用語は使わない方が得策ですね。

やっぱり6年

新年度が始まって1カ月。新学習指導要領移行措置期間中の授業に、いざ自分も関わることになって「やっぱりね。」と強く感じたのは「ネックは6年。」です。何事も新しいことを始めるときは困難がつきものなので、3~5年も大変と言えば大変なのですが、一番難しいのは6年ではないでしょうか。Hi, friends! との併用で、We Can! の一部しか扱わない場合でも、かなり注意深く年間指導計画や授業案を立てないと、子どもたちに意欲どころか「?」ばかりが増産され、中学校との連携どころではなくなりそうです。

自分の勤務校も含め、いくつかの地域や学校での移行措置期間中の指導内容を比べると(これもある程度は想定内でしたが)本当に地域によってばらつきがあることを改めて実感しました。ここからはただのおせっかいな独り言ですf^^;。

時間数に関して言えば、とりあえず今年度の高学年は45分×50時間(15時間を総合から捻出)を選択した学校(自治体)が一番無難だったのかな、と思います。ただ、こういう選択をした学校の多くは文科省が提示した Hi, friends! と We Can! 併用の50時間案の年間指導計画に沿って指導が行われていると推測していますが(実際、そういう自治体があるのを知っています)、それはそれでかなり問題ありです。

何が問題かというと、Hi, friends! と We Can! の両方を欲張って50時間に入れようとするものだから、1単元当たりの配当時間が少なく、定着はもちろん無理、慣れ親しみすら保障できるのか?、「読むこと」「書くこと」がどの程度指導できるのか?というのが正直な感想です。今年度の6年は We Can!1を使って70時間学習をしたうえで We Can!2 と出会うわけではないので、色々と補わなくてはなりません。そのために Hi, friends!2の多くの内容を学習することになるわけですが、これは子どもたちにとって必要な橋渡しです。だったら We Can! の内容をもっと減らすべきで、このままだと指導する先生にも児童にもかなりの負担がかかります。文科省が「移行措置期間中もこの内容は扱いなさい」と定めている項目の中で、文字に関する部分は私も賛成ですし、これはさほど教師にも児童にも負担はかからないでしょう。問題はそれ以外。しかも扱う項目の選定基準が「中学校との接続」とのことで、ひねくれた見方かもしれませんが、「なあんだ、結局は小学校の現場より中学校優先の上から目線で物事が決まってしまうのね。」と思ってしまうのです。でも実は We Can! を作った偉い先生方が、自分の担当した単元をどうしても入れさせたくてなかなか譲らなかった結果、あの単元もこの単元も入っちゃったのかな、なんて勘ぐってしまいます。(さすがにこれは妄想しすぎか…?f^^;)

Hi, friends!2のうち、Lesson7の昔話は全カットでも特に支障はないと思われるので、Hi, friends! 2を29時間で扱い、あとは各自治体や学校の増加分の授業時数に合わせて We Can!1、2の内容を補うにしても、元々8時間配当で作った単元を2時間で実施しろはないでしょー、と思います。単元の配当時間は原則そのままで、扱う単元の優先順位を文科省が示すだけの方がまだ良かったような気がします。

一方、45分×35時間はそのままで、増加分を短時間学習で補っている学校はどこも大変そうです。文科省が短時間学習用の指導案を出していないため、自力でどうにかしなければなりません。いくつかの出版社でモジュール用のICT教材を作り、強引に We Can! と関連づけようとしていますが中身を見ると無理があります。時程表や指導計画表に短時間学習が明記されていても実際にどこまできちんと指導されているか…。特に新年度がスタートしたと思ったらすぐに運動会という学校では「絵に描いた餅」になってしまっているのが現実かもしれません。実質的な指導時間数は昨年度とほとんど変わっていないのに指導内容は増えているわけですから児童が消化しきれないのは当たり前で、昨年度の6年の方が実は力をつけて中学校に進学したなんていう皮肉な結果になることさえありうると思っています。でも悪いのは小学校の先生ではありません。週当たりのコマ数つまり枠組みをきちんと決めずに現場に丸投げして、教科化と時間増だけを急いだ文科省の罪は大きいと思います。苦肉の策として「短時間学習も可」としたなら、短時間学習用のICT教材と指導案を作るべきでしたね…とここで愚痴っても仕方ありませんが。

復活

イースターの話ではありませんf^^;。さきほど文科省の新教材ダウンロード専用サイトを見たら4年生用の学習指導案例が掲載されていました。無事に復活したようです。…で、高学年はまだ?都内の学校はもう昨日始業式や入学式を終えていますけど。

何か間違った?

文部科学省の新教材ダウンロード専用サイトをチェックするのが日課となっている今日この頃。早く高学年の学習指導案が出ないかな…。昨日は1日中出かけていたのでチェックし忘れましたが、今日見てさらにびっくり\(◎o◎)/!なことがありました。先日、いったんは掲載された4年生用(Let's Try!2)の学習指導案が「近日中に掲載」となっていました。何か間違いがあって改めて修正作業中?最初にアップされたものをダウンロードしてしまった人(私もだけど)、さらには紙に印刷しちゃった学校はどうなるの??もし改訂したのなら、「4月〇日改訂版」のような表示が欄外にないと混乱しちゃうよ~。しっかりしてよ!文科省。

それぞれの解釈、それぞれの思惑

4月1日、まだ文科省の新教材ダウンロード専用サイトは閲覧可能ですf^^;。高学年の学習指導案を掲載して1週間くらいはアクセス可能にしておかないと、現場からのブーイングどころでは済まされないかもしれません。

この春休み中、小学校の先生方だけでなく小学校英語教育に携わる色々な人たちの間で新指導要領や新教材についての知識や情報が共有化され、多くの人の理解が徐々に深まっている感触があります。でも一方で、その人の立場によって物事の解釈が色々と分かれているんだな~、という印象もあります。

私が一番懸念しているのが「高学年教科化」について中学校の前倒しに近い解釈をしている人たちの存在です。先日、ある会合で現職の中学校の先生と民間の英語教室の先生3人が話しているのを聞いていたところ、「完全実施になったら小学校外国語は数値評価をするから、高学年は紙でテストをして成績つけるんですよね。」「宿題も出されるのよね。」といった具合です。4人とも疑いもなくこのような言葉を口にしていました。

数値評価=ペーパーテストではないはずです。教科化といっても週に2時間しかないわけですから、宿題を出すことが本当に妥当かどうか考える必要があります。個人的には宿題を出すなら、音声に触れる宿題を出さないとほとんど意味はないと思っていますが、そのための媒体を考えたり家庭の協力などを考えると現実的ではなさそうです。民間の英語教室の先生はともかく、ここは中学校の先生が正しい知識を他の方に教えていただきたかったな…と個人的には思っています。

もう一つ、これは誤解というより地域や学校ごとの解釈の差なのですが「英語専科」の役割です。ある小学校の先生(小学校英語教育に関しては英語教育推進リーダーより先を走っていそうな人)の話では、ここ数カ月で急に「英語専科」を採用したり配置したりしている地域が増えたらしいです。ただ、実際に「英語専科」の役割はまちまちのようです。

おそらく外国語活動にあまり前向きでない小学校の先生方にとって都合のよい解釈は「音楽専科や図工専科と同様、外国語(活動)の時間は、英語専科の先生が1人であるいはALTと一緒にうちの学級の児童を教えてくれて、自分はその時間は空き時間で他の仕事ができる。」というパターンでしょう。実際に今年度からこのような運用をする学校や地域もあるそうで、その根源にあるのは教師の働き方改革、だそうです。これについて部外者の私がどうこう言うものでもないでしょうが、今までの「児童をよく知っている学級担任だからこそT1」という根本的な思想が大きく覆されることになります…これでいいの?

一方で、学級担任がT1で英語専科がT2、ALTが入った場合は英語専科がT3になる、という運用をする予定の学校や地域もあるようです。これは納得。ただ、これも学級担任の意識が育たないと、結局は英語専科に甘えすぎてしまって、いつまでも学級担任がT1として自立しないという危うさも含んでいますし、担任と英語専科の教職歴や年齢によってはどちらかが遠慮して、本来は児童にとってプラスでなければいけない授業が展開できない可能性もゼロではありません。

採用の仕方も英語専科(あるいは肩書は違っていてもそれに準ずる職)を新たに採用する自治体もあれば、現職の小学校の先生の中である程度の英語力がある人を「英語専科」と位置付けて学級担任の外す、という動きもあります。どちらにしても増員には違いないので、ストレートに言うと自治体の経済力次第になってしまうのでしょうね。

付け加えると、現役JTEの中でも「英語専科」というものに対する解釈や思惑がまちまちであることもわかりました。「英語専科」を自治体がどう位置付けるかにもよりますが、専科教員という以上、やはり基本的には教員免許は必須でしょう。小学校全科と中学校英語の両方を所持しているのが理想ですが、少なくともどちらか一方、もしくは小学校全科+英検やTOEICなどの公的な試験で一定以上の英語力が証明できるものがないとこれからは厳しいのではないでしょうか。私の周りのJTEも、長年の経験や地域への貢献は素晴らしいと思いますが、教員免許や専科というものを甘く見ていないかな??と思う人もいないわけではありません。

英語専科になりたい、小学校で英語を教える仕事で食べて行けるだけの収入を得たい、と思っている人は少なくありません。例えば、小学校で音楽を教えて食べて行ける収入を得ている音楽専科(都道府県や政令指定都市の教員採用試験に合格してフルタイムで働いている人)の先生は、音楽だけ教えているわけではなく、委員会活動もクラブ活動も指導し、行事では様々な仕事をこなし、校外学習の引率もします。そういう仕事も含んでいることを理解したうえで、ちゃんと教員免許も取って「英語専科」を目指すべきではないでしょうか。「英語を教えたくて専科教員になったのに、雑用が多いし何で遠足について行かなくちゃいけないの?」なんて言ってしまう人は、日本の小学校のことよくわかってないな~と思います。

プロフィール

Author:mocco
J-SHINEトレーナー
元中学・高校の英語教師
小学校外国語活動講師(JTE)
首都圏を中心に各地の小中学校で研修講師も務めています
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