教科担任制

さきほど、こんなニュースを見つけたので思いつくまま雑感を書きます。

小学校高学年で教科担任制導入の動き 教師や保護者が歓迎する理由は…

これには賛否両論あるでしょうし、私自身も現時点では賛成とも反対とも言えません。この記事の中にあるように、多くの小学校の先生の負担が軽減できるのはわかります。ただ、時間割編成は(今でも多くの学校は大変なのに)さらに困難になることが想定されますし、教員数も増やさないと実現不可能でしょう。そうは言っても、借金だらけのこの国で、かつては財務省が「全学年40人学級」案を平然と打ち出したくらいですから、学級担任は増やさず授業だけ何とか回ればよしとばかりに時間講師でやりくりさせようとするかもしれませんね。

そうなると次にネックになるのが、決して好待遇とは言えない時間講師というポストを募集したところで、どれだけ人が集まるか?しかも免許更新制などというおかしな制度を作ったために、教職経験があって、例えば結婚や出産を機に退職して子育てが一段落して、地域貢献のつもりで(低賃金でも)時間講師ならやっても良いという人がいたとしても、その人が数万円+数十時間というコストをかけないと稼働できないわけです。(これだけ見ると、行政が自分の首を自分で絞めたような印象さえ受けます。)

外国語に関して言えば、教科担任制になったからと言って必ずしも「専門の先生」が教えるとは限らないでしょう。なぜなら指導者の養成が後手後手だからです。小学校の教員免許と中学校英語の教員免許を持っている人はまだまだ少ないですし、そういう先生は高学年ばかりを持たされることになるのでしょうか?中学校英語の教員免許を持っていなくてもJ-SHINE等を取得するなど、児童英語教育について専門的な知識や指導技術を持っている小学校教員がいったいどれだけいるでしょう?

都内のある学校は高学年の一部の授業で教科担任制を導入しています。ただし「専科制」ではありません。高学年の担任がクラスを交換して自分の得意な教科を教えています。昨年、この学校で6年1組の外国語活動の授業を参観させていただきました。授業者は3組担任のA先生とJTEでした。A先生は英語の教員免許を持っているわけではありませんし、特に英語が堪能というわけでもありません。英語教育について専門的な勉強をしたわけではありません。英語圏在住や留学の経験もありません。6年の担任になることが決まり、学年の先生方と「誰が(全クラスの)何の教科を担当するか」話し合った際、誰も外国語活動をやりたがらなかったので、さほど嫌々ではないA先生が引き受けたそうです。

A先生は児童の気持ちを掴むのがお上手で、ご自身が担任ではない学級の児童との関係もとても良好でした。が、致命的だったのは、授業のねらいも評価規準も活動内容もすべて学習指導要領から大きく逸脱しており、参観した私には「いったいこの45分で、この先生は何を教えたかったのか?児童は何を学んだのか?」がさっぱり見えて来ませんでした。たまたま先生と児童の人間関係がうまく行っているため、そこだけに救われていて、一つ間違えば英語嫌いの大量生産が起きていてもおかしくない状況でした。(あるいは6年生だから表面化しないだけで、実は中学入学を目の前に英語学習への意欲を失っている子もいたかもしれません。)今後、このような学校が増えて行くのかもしれませんが、教科担任制になったからと言って必ずしも「専門家が教えるわけではない」ということを(特に保護者は)知っておいた方がよいと思います。

外国語(活動)に関しては、教科担任制と専科制がごっちゃに語られてしまうことがあるようなのですが、別物として議論されなければなりませんし、「英語専科」という肩書きにしてもそれはあくまでも学校や自治体が決めているもので、英語力や英語教育・言語習得論等の専門知識にはバラつきがあるのかな、と思います。

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問題点を教えて頂きたいです。

初めまして鈴木と申します。
もしできましたら、その先生のどの点が問題だったか教えて頂けませんか。
自分の行う授業を客観的に判断して評価してくれる機会はなかなかないものです。
その方の良くなかった点を知ることにより、自分の改善点が見いだせると思うのです。是非ともお願いいたします。

No title

お忙しい中、詳細に教えて頂きありがとうございました。
大変参考になりました。

研究授業の件に関しましては、教員ではなく、支援員な為、無理なのです。また、支援員とは名ばかりで、ほぼT1で仕事をさせて頂いています。(ALTに丸投げの先生がいらっしゃるように)そんな状態のため、自分の授業の評価は児童の反応のみになっている状態だったりします・・・。(授業中の顔や授業以外でも声をかけてくれるとか。)
自分にとって悪い評価は辛いものですが、そんな授業を受けている児童は、もっと辛いですものね。

Re:

鈴木さま

支援員さんだったのですね。てっきり小学校の先生だと早合点してしまって失礼いたしました。

> 自分にとって悪い評価は辛いものですが、そんな授業を受けている児童は、もっと辛いですものね。

どんな達人でも完璧な授業はありえませんし、自身の授業を客観的に見るのは難しい(というか不可能)ですが、こういう意識があるだけでも日々指導力が向上していらっしゃると思います。(…って偉そうにすみませんf^^;)
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